Hot Thumbs O'Riley / Wicked Ivory (Love)
フィンランドの70年代を代表するロック・バンド(そしてヴァージンが初めて契約した北欧のバンド)、Wigwam(現在ノルウェーに同名のハード・ロック・バンドがいるらしいので混同注意)のヴォーカリスト、Jim Pembrokeのファースト・ソロ(72年)。これが実に後期ビートルズ的というかキンクスをバックにニルソンが歌うみたいなひなびたペーソスに溢れた素敵ポップ(微妙にコンセプト・アルバム?)になっていて、実はウィグワムの諸作よりも好きかもしれない。そもそもヴォーカリスト自身は英国出身だそうで、その出自的なもの(ネジれとユーモア)がこのソロ作では素直に表れているのかもしれない。そういえば、ウィグワムのライヴ・アルバムはビートルズのカヴァーが多かったっけ。
Coach Fingers / One For The Road
No neck blues bandっていまいち好きになれないのだけど、そのメンバーが別にやっているこのバンドの素晴らしさは何なんだろう。70年代東海岸サイケ、ザッパあたりのネジれ方にも連なるような、90年代のUncle Wiggly、Fly Ashtrayとかとも共振性を感じさせるような、カントリー的な呑気さとエグいフリーク・アウト感覚がごく自然にさりげなく共存しちゃってる感じがこっちの脳内時計をジワリジワリと狂わせる。70年代の写真や映像の質感に特有の、あの若干漂泊された感じがうっすらとこちらの脳内にもかかってくるような(判りにくい)。この、一応song-orientedではありつつも、pitchforkですらおそらく盛り上げようのないであろう時間軸のネジ曲がったヘンな存在感がたまらなくカッコいいです。これはツアーepでwarszawaで買ったものだけど、locustから正式なファーストNo Flies on Frankが出ていて、こちらは普通に手に入ると思います。
昼と夜
- アーティスト: ジョー・ジャクソン
- 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
- 発売日: 2006/12/20
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何事も過程が一番楽しいんじゃないかっていうお話。
結果よりプロセス。結果は常に過去形で、プロセスは常に現在進行形だ。遠足で一番テンションが上がるのは現地に着くまでだったりするし、フジロックで一番テンション上がるのはあの退屈なバスの窓からカラフルなテントの山が見えた瞬間だったりもする。ロックに失望してイギリスからニューヨークにやってきた一人の青年が、大都会の洗練を身につけながらもジャズやラテンといったさまざまな外側の世界の音楽の魅力に気づき、ロックという空港からまた別のジャズやラテンといった空港、目的地に向かってジェット機で向かっている。その機内でのワクワク感、浮かれたテンションを見事に表しているのがこのアルバムだ。飛行機で飛んでいるだけあってまさに地に足の着かない感じ。ひとつの世界から別の世界へステッピン・アウトしていく足取りの軽やかさ。小躍り感。ジャンルとジャンルの境目にあるエアポケット。これが彼の音楽的興奮(とチャート)におけるピークであったことは皮肉ではあるけれども、音楽っていうのは成熟や完成度とはまったく異なる別の魅力も存在するということ。だからこそ、世界中の地域性に根ざしたドメスティックな音楽も勿論面白いけれど、やっぱり大都会の軋轢と摩擦が生み出すロックも面白いし、何より、“何かに向かって動いている音楽”ほど面白いものはない。
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- アーティスト: Deerhunter
- 出版社/メーカー: Kranky
- 発売日: 2007/05/08
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- アーティスト: TRANS AM
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Puddle City Racing Lights [ボーナストラック2曲・歌詞対訳・日本語解説付き国内盤] (BRC-178)
- アーティスト: Windmill
- 出版社/メーカー: MELODIC / BEAT RECORDS
- 発売日: 2007/05/26
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