昼と夜

ナイト・アンド・デイ

ナイト・アンド・デイ

何事も過程が一番楽しいんじゃないかっていうお話。

結果よりプロセス。結果は常に過去形で、プロセスは常に現在進行形だ。遠足で一番テンションが上がるのは現地に着くまでだったりするし、フジロックで一番テンション上がるのはあの退屈なバスの窓からカラフルなテントの山が見えた瞬間だったりもする。ロックに失望してイギリスからニューヨークにやってきた一人の青年が、大都会の洗練を身につけながらもジャズやラテンといったさまざまな外側の世界の音楽の魅力に気づき、ロックという空港からまた別のジャズやラテンといった空港、目的地に向かってジェット機で向かっている。その機内でのワクワク感、浮かれたテンションを見事に表しているのがこのアルバムだ。飛行機で飛んでいるだけあってまさに地に足の着かない感じ。ひとつの世界から別の世界へステッピン・アウトしていく足取りの軽やかさ。小躍り感。ジャンルとジャンルの境目にあるエアポケット。これが彼の音楽的興奮(とチャート)におけるピークであったことは皮肉ではあるけれども、音楽っていうのは成熟や完成度とはまったく異なる別の魅力も存在するということ。だからこそ、世界中の地域性に根ざしたドメスティックな音楽も勿論面白いけれど、やっぱり大都会の軋轢と摩擦が生み出すロックも面白いし、何より、“何かに向かって動いている音楽”ほど面白いものはない。

おかず五品

Golden Age of Wireless
Blue
English Settlement (Lp-Facsimile)
Naked
THE NIGHT FLY