イギリスから見た憧れの
アメリカ、所謂ブロークン系のシンガーソングライターで、身も蓋もない言い方をしてしまうとリップス・
ワナビー、所謂「
フリードマン」
サウンドの流派に属する音。そこらへんは歌い方やドラムの録り方
からして明白なのですが、しかし先人達にあるようなぶっ倒れるまで飲んだ次の日の朝みたいな、頭の中で不協和音がガンガン鳴っているような悪夢にも似た覚醒感、酩酊感、カオスみたいなものは薄く、そうなるのを見越した上で懐に
キャベジンを用意しているかのような計算と周到性がある。例えば同時代の
SEVENTEEN EVERGREENやBESNARD LAKESといった同流派達のアプローチに比べると、そういう部分でややスケール感に欠ける部分は否めない(これはバックを務めているTHE EARLIESの
サウンドに漂う「箱庭性」にも通じる性質だと思う)。但し、こういった
サウンドを、例えば
KEANE、
COLDPLAYなどの所謂「うたもの系UKロック」における応用として捉えると話は別だ。ひとつのエモーショナルの表し方として、この唐突なまでの明るさとメランコリーとを同時に湛えた音楽表現は、より開かれた大衆にとって大きな
インパクトを持ち得るだろう。