Puddle City Racing Lights [ボーナストラック2曲・歌詞対訳・日本語解説付き国内盤] (BRC-178)

Puddle City Racing Lights [ボーナストラック2曲・歌詞対訳・日本語解説付き国内盤] (BRC-178)

 イギリスから見た憧れのアメリカ、所謂ブロークン系のシンガーソングライターで、身も蓋もない言い方をしてしまうとリップス・ワナビー、所謂「フリードマンサウンドの流派に属する音。そこらへんは歌い方やドラムの録り方からして明白なのですが、しかし先人達にあるようなぶっ倒れるまで飲んだ次の日の朝みたいな、頭の中で不協和音がガンガン鳴っているような悪夢にも似た覚醒感、酩酊感、カオスみたいなものは薄く、そうなるのを見越した上で懐にキャベジンを用意しているかのような計算と周到性がある。例えば同時代のSEVENTEEN EVERGREENやBESNARD LAKESといった同流派達のアプローチに比べると、そういう部分でややスケール感に欠ける部分は否めない(これはバックを務めているTHE EARLIESのサウンドに漂う「箱庭性」にも通じる性質だと思う)。但し、こういったサウンドを、例えばKEANECOLDPLAYなどの所謂「うたもの系UKロック」における応用として捉えると話は別だ。ひとつのエモーショナルの表し方として、この唐突なまでの明るさとメランコリーとを同時に湛えた音楽表現は、より開かれた大衆にとって大きなインパクトを持ち得るだろう。