恋の自転車

forever amber

Forever Amber / Love Cycle (Background)

英国産プライヴェート・プレスの中でもかなり高価な値段で取引されているという代物の再発CD(オリジナルは1969年)。
高価とかそういうことはどうでもよくって(だって買えないから)、このCDの素晴らしさはその音質にある。勿論曲自体もいい。ゾンビーズと初期ビートルズの中間にあるメランコリックなドリーミー・ポップという形容は内容を割とよく言い表しているとは思う。しかし、それだけではこのアルバムがここまで魅力的に響いてこない。この、全編を通してのこもり気味の音の鳴り、ボーカルのエコー感、ひなびたオルガンの音色、ソフト・フォーカス気味にぼやけた音像。これら全てがリスナーの想像力とメランコリーを掻き立てるのに最高のサウンドスケープを偶然ながらに獲得している。

果たして、オリジナルの「鳴り」がいかようなものなのかは判断しようがないのだが、少なくともこのCDにおける「鳴り」には何かマジカルなものが潜んでいるとしか言いようがない。これはおそらく狙って作り得る物ではなく、偶然と偶然とが重なって生まれたものだとは思う。だからこそ、このアルバム(CD)は素晴らしいのだ。再生産の出来ない、この盤しかもち得ない響き。たとえば、Gandalfのあの蜃気楼のようなエコー感、Please(Neon Pearl)の鍵盤の響きと音のうねり、Clienteleがファースト以前に拘ってたあの響き、もしくは初期Creationの連中ががむしゃらながらに鳴らしていたあの音。昨今の何でもかんでもデジタル・リマスタリングという音とは異なる、音が朽ち果てていく(死にいく)際の刹那の美しさの結晶がここに集約されているといっても過言ではない。

なーんて、ちょっと大袈裟ですね。

http://www.amazon.co.jp/Love-Cycle-Forever-Amber/dp/B000057BPS

おかず五品

1967 Recordings
オデッセイ・アンド・オラクル(紙ジャケット仕様)
ヴァイオレット・アワー
Flowers in the Sky: The Enigma of the Revolving Paint Dream
Gandalf