グレイとピンクのチューリップ畑

SUPERSISTER


SUPERSISTER / PRESENT FROM NANCY/TO THE HIGHEST BIDDER
(70/71 POLYDOR)

秋ですね。秋といえばカンタベリー(notカンタービレ)の季節です。キャラヴァンの『グレイとピンクの地』のまったり感が恋しくなる季節です。

(「○○といえば秋」って、結構何にでも通用するフレーズですよね)

 ハイ、そこで出ました。オランダのスーパーシスター。このCDは70年の1stと71年の2ndアルバムのカップリングなんですが、このバンド、一言で言うとちゃっきちゃきのカンタベリー・フォロワーです。言ってしまえばカンタベリっ子。いっそ、ベリ娘と略しましょう(シスターだけに)。初期SOFT MACHINEサウンド(ファズ・オルガン&ファズ・ベース)で、CARAVANの牧歌的世界観を、HATFIELD & THE NORTH的組曲形式&バカテクで再現するという、言ってしまえばフォロワーというより「美味しいとこどりバンド」なんですが、でも、このバンドの凄まじい所はその「美味しいとこどり」が本気で完璧な所にあります。メロディやヴォーカル、サウンドといったパーツのひとつひとつが実に精巧に再現されていて、非の打ち所がないくらい完成度が高い。さらに、突出したプレイヤーやイギリス人特有の偏屈精神がない分、演奏の一体感や牧歌的なユーモア感が強調され、そこからサウンド全体の、まるで氷上を舞うような滑らかさが生まれていて、のほほんとしているのに何故か優雅でスリリング、という矛盾しているようなしてないような、なんともいえない不思議な音楽が楽しめます。

 そしてもっと恐ろしいのはこれがハットフィールド&ザ・ノースが出現する前の作品だっていうことで、ヘタしたらこのバンドがハットフィールズの音作りにフィードバックされていたんじゃないかっていう妄想をしてしまうくらいの先取り感です。ベリ娘侮れじ。

おかず五品

ギルガメッシュ(紙ジャケット仕様)
優雅な軍隊(紙)
グレイとピンクの地+5
ザ・ロッターズ・クラブ(紙ジャケット仕様)
ソフト・マシーン(紙ジャケット仕様)