直撃

Greenhouse 27


Green House 27 / Smashed (Bar/None)

 USヒネクレ・ポップの代表格They Might Be Giantsを輩出したBar/Noneは、90年代はMergeなんかと並んで所謂US Indieの良心的な存在で、TMBGは勿論、Yo La Tengoの"Fakebook"もここだし、Of Montrealの初期作や、Neutral Milk Hotelの前身にあたるChocolate USAのアルバムなんかをリリースしていて、ちょっと「ヒネクレ」たマイナーなポップ・バンドの宝庫でした(最近ではBurnside Projectを輩出したり、あのPuffyのUSリリースなんかも手がけている)。この3ピースバンドの93年の唯一のアルバムもそのひとつで、遅れてきたC86的なDIYジャングリー・ポップからササクレ感を取り除いて、Sea & Cake出現直前のスムースさをちょっぴり加えたような、クリーミーなポップ・ソングが16曲並んでいます。ただ、全体的にまったり度高めなので16曲はさすがに曲数が多いし、ジャケのセンスがいかんともしがたいのが難ですが、当時のUS Indie Sceneの層の厚さと充実度を感じるには十分なアルバム。何も特別変わったことをしていないけれど、だからこそ「I need U/U need me」なんてちょっと気恥ずかしい歌詞もすんなり耳に入ってくるし、13年経った今聴いても特別風化していない時代を越えた普遍性(そんな大袈裟なもんじゃないけど)と、地に足の着いた気のおけないポップ感覚がここにはあります。「ネオアコ」でも「ギターポップ」でもない、どっちつかずな音楽性故に見逃しやすいけど、地味に面白いここら辺の連中の存在も、もしどこかで出会う機会があれば顧みてみてほしいと思います。

おかず五品

All Jets Are Gonna Fall
Cherry Peal
Then: The Earlier Years
CD86: 48 Tracks from the Birth of Indie Pop
Fakebook