3人は友達

Threes Co

Threes Co

 最新作がLA録音だったbelle and sebastianが「イギリスから見たアメリカ」だったとしたら、このレーベルメイト(ラフ・トレード)であるthe tydeはさしずめ「アメリカから見たイギリス」だろうか。この前mergeから出たthe essex greenの新譜にも感じたのだけど、洗練と力強さが同居するところがイギリスの同系列のバンドにはない、アメリカ出身のバンドならではの強みだと思う。要は基礎体力の違い。持久力。粘り腰。突飛なことは決してやらないけれど、これまでの積み上げてきたものをしっかり踏まえて、ゆっくりと着実に前進していってる。タイドが3枚目となる新作で見せたのは、そんな「成熟」と「洗練」とを兼ね備えた「爽やかで不思議と懐かしい場所」だ。

 彼らの面白さは、(creationからレコードを出していたfurtherを前身とするだけに)イギリスのギター・バンド特有の泣きをメロディや歌に多分に含んでいるのに、あちこちで西海岸臭(レイドバックしたサイケ感)がほのかに漂ってくるところにある。服装はバッチリ、スーツで決めているのに下は裸足みたいなだらしなさ。ただ、さすがにそんな感覚もファーストからセカンド、そしてこのサードにかけてやや薄らいできてはいるのだけど、要所要所でユルむところではきっちりユルんでくれるところが何とも頼もしい。それでも、今回はリフのキャッチーさが際立っていて、尚且つプロダクションもしっかりしていてとても聴きやすい。なんというか「キッチリ」と「ダラしない」というちと妙な感覚。この「ソフィティケイテッド」された「レイジーさ」(英語で言い直しただけじゃん)が際立つことによってこのバンドの個性に新しい説得力が生まれてきた気がする。そしてそれは、LA録音によって逆に英国的感覚が強まった感のあるベルセバの新作が向かったベクトルとは全くの正反対ながらも、丁度その中間地点(英と米の中間…ハワイ?)で互いに偶然ばったり出会ってしまったかのような、不思議と共通した伸びやかな空気感に満ちているところがとても面白い。

 『once』『twice』の次は『three's co』。彼らが敬愛するfeltは丁度10枚目となるアルバムで綺麗に終結してみせた。その引き際の鮮やかさはいまだに忘れられない印象をもたらしたけど、このタイドのように、じっくりダラダラと前進、成長していくようなバンドの有り方もまた西海岸らしくて好きだ。さて、『tenth』が出るのはあと何年後だろう?

おかず五品

Twice
Once
Cannibal Sea
Me and a Monkey on the Moon
ライフ・パースート-THE LIFE PURSUIT-