人生研究

ライフ・パースート-THE LIFE PURSUIT-

ライフ・パースート-THE LIFE PURSUIT-

 ベルセバ、さらに一皮剥けました。
 とっても、ポップです。前作ではtrevor hornを起用して「モダン・ポップ」的な音を感じさせる音作りだったのですが、今作はまさにそれの延長線上にあって、同時にバンドとしての成長も感じさせる充実作ですね。
 travorの味付けがない分、実にナチュラルな肌触り、だけども曲調は割と幅があって、聞き飽きません。「blues are still blue」のちょっと70年代グラムを思わせるレイジーなロックンロールから、まさに2005年型ソフト・ロック「we are sleepy heads」、70年代メロウ・ソウル風味の「Song For Sunshine」、「For The Price Of A Cup Of Tea」などなど、それまでのイメージからちょっぴり背伸びしつつ、「Belle & Sebastian」の表現としてしっかりと取り込んでいく柔軟性が気持ちいい。
 所謂ネオアコと呼ばれるバンドが「ネオアコ」という型にハマって身動きが出来なくなっているような窮屈さは微塵もない、風通しの良い前向きさ。勿論それは核となる自分自身の「歌」がしっかりと確立されているからこそのことなのでしょう。
 全体的に70年代風味が隠し味になっていることが今作の特徴のひとつ。そういえば、super furry animalsの最新作『love kraft』も全体的に70年代風味でしたが、あそこに流れていた「おおらかな空気感」がここでも共通して流れているような気がしますね。ある意味、今最も(60年代から今に至る40年の歴史を総括した意味での)「英国ポップ」というものの一番中心に位置する音だと思います。(そういえば、2001年のシングル「I'm Waking Up To Us」の表題曲のプロデュースはcat stevensやmarc bolan、manfred mann、the moveなんかを手がけた「英国ポップの裏職人」と呼べるmike hurstその人だったんですね。ちょっとビックリしました)
 清冽さ、ナイーヴな繊細さといったイメージから、ちょっぴり色気や力強さのようなものが出てきて、成熟という感覚も芽生えてきた今作。正直、ベルセバがこんなに頼もしいバンドに成長してくれるとは思っていませんでした。今後の飛躍ぶりも期待します。

[おかず]5品

So Much for the City
ヘヴン・アース
ラジオ・スターの悲劇+3
Home/In My Time
Love Kraft