マドモワゼルのように

Acapulco Roughs

Acapulco Roughs

 フラフラでヨロヨロなんだけど、何故か憎めない。ben foldselton johnみたいに、ピアノをメインにしたSSWなんだけど、使われてる楽器の中で、そのピアノが一番下手だったりする。でも、憎めない。ちょっとキーが高くて、線の細い歌声のもつ人懐っこさ、それにマッチしたメランコリックなメロディ。じんわり、泣ける。

 あのsub popの爆音サイケ軍団comets on fire(six organs of admittanceのben chasneyも在籍)の現ドラマー、utrillo kushnerがひっそり出したソロ・アルバム。

 彼のmyspaceなんかを見ると、"influences"のところにbill fay、robert wyattthelonious monkjohn lennon、emitt rhodesそして勿論elton Johnなど70年代のSSWやらピアノ弾き達がズラリと並べられていて、たしかにそんなポップが熟れた時代の、あの独特の甘い香りが濃厚に漂っている。でもその甘さは果物が腐る一歩手前の甘さで、今にも崩れ落ちそうで何とも頼りないのだけれど、その頼りなさがだらしないメランコリーと重なりあって、何ともいえない黄昏感を醸しだす。

 裏ジャケにはなんだか時代錯誤のマドレスみたいな格好でポーズをとってる彼が写っている。決して格好いいとはいえないし、どこか滑稽ですらある。でも、そんな愚直なまでの70年代への憧れの眼差しと、天然の西海岸サイケデリア特有のレイドバック感とが素直に融合した音がなんだかとても気持ちいい。

 決して派手さはないけれど、例えば、galaxie 500、pernice brothers、beachwood sparks、sufjan stevens、そしてben foldsなんかが好きな人には是非一度耳を傾けてみてほしい一枚。

Colossal Yes myspace(試聴も可)
http://www.myspace.com/colossalyesrock

おかず5品

Rockin the Suburbs
Blue Cathedral
Bill Fay (Reis)
ヒズ・グレイテスト・ミッシーズ ~ロバート・ワイアット30年の軌跡
Goodbye Yellow Brick Road