元気が出るアルバム

ドゥ・ザ・ボサ・ノヴァ

ドゥ・ザ・ボサ・ノヴァ

 フルート奏者として名を挙げたハービー・マンは「マン」という割には男らしくない。どちらかというと「アメリカの高田純次」的な軟派な印象が強い。その時代、アルバム毎に音楽性がコロッコロ変わるし、フルートのプレイも軽妙というよりは軽薄?な感さえあるし、何よりそのズルがしこそうな顔つきが非常にいやらしいのである。そしてそういうところ全部ふっくるめて私はこの男の存在感が大好きだ。
 これは62年のアルバムで『Do The Bossa nova』というタイトルどおり、当時はまだアメリカで、いやブラジル以外の国ではあまり知られることのなかった「ボサノヴァ」という音楽をいちはやく大衆に知らしめた一枚としてスタン・ゲッツジョアン・ジルベルトの共演アルバムとともにアメリカの音楽史的に重要な役割を持つ一枚のはずだが、どうですかこの軽さ。軽妙というよりは「何も考えてない」といった方が正しい気がするマンのフルートは本当に能天気この上なくって、でも何だか子供が新しいオモチャを見つけて異常にテンションあがっちゃったときにも似た躁状態でのプレイが実に微笑ましく、かつイカす(もちろんそれに半ば呆れ顔で答える現地のブラジル・ミュージシャンのプレイも素晴らしい)。ここにはあの清川虹子の大きな指輪を思わず口の中に飲み込んでしまった時の高田純次の姿とオーヴァーラップするものがある。

[おかず]5品

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