春のシューゲイザー祭り

heaven sent an angel


今日買ったものをつらつらと〜
なんだかマイナーなシューゲイザー関連バンドばかりですな。

  • REVOLVER / HEAVEN SENT AN ANGEL (HUT 1991)
  • REVOLVER / CRIMSON (HUT 1991)

 割とマイナーなまま終わってしまった感のあるシューゲイザー・トリオの91年のデビュー・シングルとセカンド・シングル(っていうかEP)。MOBILE RECORDSのシューゲイザー・コンピ『Feedback To The Future』の冒頭を飾っていた前者の表題曲「HEAVEN SENT AN ANGEL」は溌剌としたメロディと爽やかなギター・ノイズ、そして青春度の高いちょっと甘めのヴォーカルが奇跡的にマッチングした名曲でございます。他残り3曲もエネルギッシュな演奏を聴かせてくれてデビュー作だけあって若さ漲るという感じで充実。一方、2枚目はSTEPHEN STREETがミックスした表題曲「CRIMSON」(妙にカッチリしすぎているような感も)以外はアコギをフィーチャーした音作りでファーストに比べるとやや地味な印象かなー。まぁ、でもどちらも同時代のシュー・バンド(RIDEとかLUSHとか)に比べても見劣りしないクオリティは誇ってますよ(プロデューサーのGUY FIXENの効力もデカいと思いますが)。ではなぜいまいちブレイクせずに終わってしまったかというと、ジャケがショボい(なんか、氷室っぽい)。シューゲイザーのキモである、ジャケの美しさ=美意識の高さが他のバンドに比べ弱かったのが敗因ではないかな、と思います(レーベル仲間のMOOSEを見習って欲しかった)。だってねぇ、せっかく「HEAVEN SENT AN ANGEL」なのにジャケがヒムロックなんだもん。あと、やっぱ「SHOEGAZER」という枠の中にスッポリハマっちゃってるような優等生的なソツのなさがイギリス大衆の目にはいまいち地味に映ったのかもしれませぬ。やっぱ毒がないとね。

  • LEVITATION / NADINE(ULTIMATE 1990)

 元HOUSE OF LOVE(今年再結成してた)のTERRY BICKERSが率いてたバンドの91年のシングルです。1分少々であっという間に終わる表題曲の後に7分もの大曲を持ってくるところはなんかコンセプチュアルというかヒネくれてるというか。それにしてもお耽美ですねぇ。イギリスの80年代ニューウェーヴ〜ネオ・サイケの自意識過剰なナルティシズムをシューゲイザーにあやかって轟音ギターで90年代型のサイケデリアに強引にアップデートしちゃっているところはなんというか、意地っちゅうかイギリス人特有の頑固さを感じますね。そういうとこ好きです。ベテランらしい堅実かつ重厚な音作りでクオリティはもう嫌味な位高いです(無駄に金かけてそう)。初期のハウス・オブ・ラヴの代表曲「クリスティン」辺りの路線を発展させた音ともいえますね。とにかく、このめくるめくお耽美サイケデリック・ワールドに、もう浸っちゃいなさい!(なぜかおすぎ口調)…まぁでもこのバンドも本家(HOL)とともにイマイチブレイクせずに地味ーにいつの間にか消えてしまいましたが。ところで何気に表題曲のヴォーカルにYUKA IKUSIMAという名前がクレジットされてるんですが、誰っすかこの人?


  • EDSEL AUCTIONEER / SIMMER (KOKOPOP 1993)

 で、こっちは元PALE SAINTSのASHLEY HORNERがギタリストとして在籍していたリーズ出身のバンドのファースト・アルバムです。たしかこれの前にシングルを集めたミニ・アルバムが日本盤でリリースされていたはず(未聴)ですが、肝心のこちらは結局殆ど注目されずに終わりましたね。っていうか、自分もクロスビートで7点ついてたくらいしか覚えてないです。ほんで、今回初めて聴いてみたのですが、これが割とよいのです。最早懐かしさすら感じさせる骨太かつノイジーなギター・サウンドに、イギリス人らしい精の薄そうな声量のないヴォーカル(ちょっとREMのmichael stipeっぽい)がのっかるという、WEDDING PRESENT辺りに代表される所謂「90年代のUSオルタナティヴ憧れ系UKバンド」という感じですかねぇ(ギターの音はさすがに元ペイル・セインツだけあって結構シュー的なシャープな鋭さが有り…ってこの人、ペイルではドラマーやってたらしいですが)。でもこれが実に素朴でいいんですわ。なんというか一言で表すと「実直」。流行してるからこれやってヒトヤマ当ててみようとか、そういう邪心というかヤマっ気がなくて、本当に純粋にこういうギター・サウンドが好きで、こういう乾いた音が好きで、それをそのまんま演奏している感じが気持ちいい。なんだろう、音が実にのびのびしているんですよ。風の強い日にだだっ広い原っぱを自転車で駆け抜けてるような、ちょっと埃っぽいけど、気分は爽快、みたいな(苦しい喩えだ)。当時のアメリカのこの手のバンドだと、どこかで泥臭くなっちゃったり、ルーツ回帰という名の袋小路に陥りがちなんですが、そこはリーズ出身というだけあって、メロディ感覚にどこかイギリス的な泣きがあって妙に後味が爽やかなんです(THANKS欄になぜかあるSMALL FACESの名前に注目)。まぁ、ただ結局は一般的な見地からすると「地味」の一言で片付けられてしまう音なんですけどね。ちなみにこのアルバムはあのSHIMMY DISCのKRAMERが絡んでいるレーベルKOKOPOPからのリリースなのですが、あの邪心の塊のようなKRAMERとこのバンドがどのような経緯で接点を持ったのかが知りたいです。90年代オルタナティヴに思い入れがある人なら聴けばきっと気に入るハズ、の隠れ好盤。…ちなみにこのASHLEYさんは90年代後半にPinball Films Ltdなる会社を設立してドラマとか作ってるらしいっすよ。