無害の塵

David Grubbs & Nikos Veliotis / The Harmless Dust

David Grubbs & Nikos Veliotis / The Harmless Dust (Headz 2005)

 デヴィッド・グラブスとニコス・ヴェリオティス(舌噛みそう)のデュオ名義のアルバム。グラブス自身が「僕らの休暇の間の音楽」だと称していたように、去年発表された『A GUESS AT THE RIDDLE』を受けてのツアーの合間に録音された音源だとのこと(“what we did on our holidays”ってとこですか)。ゆえに作風はポップだった『A GUESS…』とは180度異なり、全2曲、二つの楽器による実にシンプルなドローン・サウンドが数十分に渡って展開されている。それは一聴するとまさに時間感覚が思わず弛緩しがちな休日の午後のようなのどやかな感覚に支配されているけれども、一方でその裏側のどこかにグラブスならではのピンと張り詰めたような緊張感が漂っており、その緊張と緩み、気温で言い換えれば涼しさと暖かさが微妙に入り混じった感覚がまどろみすぎないうたたねののような心地よい覚醒感を編み出している。それはまさに「月曜日」という終わりがあることを意識せざるを得ない「日曜日」という休日のためのサウンドトラックだともいえるかもしれない。

THE HARMLESS DUST