農家の子供達

with these hands


THE FARMER'S BOYS / WITH THESE HANDS (VINYL JAPAN)

 80年代中期に地味ーに活動していた英国のネオアコ、というかアコースティック・ポップといった方がしっくりくるかな。まぁぶっちゃけこの時代にはよくいたタイプの音だと思うのですが、このバンドの要はヴォーカルの声質ですね。ほんとにタッチの差で二枚目になり損ねているというか微妙に田舎臭い感じ。ホモじゃないモリッシーというか、果汁10%未満のオレンジ・ジュースというか。まぁ、農家ボーイズですからね。名は音を表すってことで。自分達をわきまえてる人たちは私は大好きです。加えてルックスが「面長丸メガネ」という、もう80年代中盤以外にありえないお顔をしてらっしゃる(参照:http://www.thefarmersboys.com/)。なんか「マクロス」にこんな感じの人(ギタリスト)でてこなかったっけ??? まぁ、それはそれとして、実家の近くにだだっ広い田んぼがありそうな非常に屈託のないポップなメロディと、その田んぼが取り壊されていきなりファミマが建っちゃったみたいな意外としっかりとしたプロダクションと薄味エレポップ風味のアレンジが混ざり合うバランス感覚はこの時代にしかありえないリアリティ。1曲目の「IN THE COUNTRY」なんかは所謂「パパパ・コーラス」が炸裂する、クラブ(どこの?)でも大人気のキラー・チューンだそうですが、それよりもむしろ「SPORT FOR ALL」や「ALL OF A SUDDEN」辺りでののんびりとしたポップさに英国バンドらしい陰影が混じりあう様を楽しみたい感じ。なんだか小さい頃の日曜の朝特有の幸せな空気感を無性に思い出させるのは丁度このアルバムがリリースされた頃(85年)私が小学生だったからですな。音の匂いで時代ってわかるもんなのね。また最後の曲の管楽器の響きがこちらのノスタルジーを掻き立ててくれやがるんだ、ちくしょう。