11月16日の音飯

heritage


CHRISTMAS / HERITAGE (UNIDISC)

 戦車どーん。戦車ジャケといえばかのSUPER FURRY ANIMALSのシングル「IF YOU WANT ME TO DESTROY YOU」を思い出しますが、あれよりもデザイン的にこちらの方がカッコいいすね(ロゴも)。あと、メンバーの無邪気な笑顔がいい味出してます。嬉しかったんだろうなぁ、乗っかれて。そんな男子の憧れの象徴でもある戦車を臆面も無くどどーんとジャケにすえてしまったこのバンドはカナダ出身の4人組。ギタリストとドラマーがREIGN GHOSTという女性ヴォーカルをフィーチャーしたサイケ・バンドのメンバーだったこともあり、基本的にはその延長線上にある音ですが、70年という時代背景から来るハード・ロックの香りもほのかに漂う、実に良質なサイケデリック・ロックをやっております(ちなみにこれはセカンド)。とにかく無駄がなく、かつ味わい深いという、まるでミネラル・ウォーターを飲んでトリップしているかのような混じりっ気のないサイケ感覚には、イギリスの同傾向のサイケ〜ハード・ロック移行組にありがちなカビ臭さやアングラ臭さ、ケムたさは殆どなく、終始抜けの良いクリーンなトーンに保たれており、その音の響きはまことに気持ち良く耳の鼓膜に跳ね返ってきます(リマスタリングもバッチリ)。このヌケの良さの最大の原因は「ブルースに寄りかかりすぎてないこと」なのかもしれません。そう、おっさん臭くないんです。かといって過剰なギミックにも走らず、シンプルかつ必要最小限の音だけで勝負しようという心意気には、まるでカナダの大自然を思わせるようなスケールのデカさがあって、C.W.ニコルさんも思わずニッコリしてしまいそう(???)。空気が澄んでるんですな。ところで、カナダのバンドってとにかく洗練されてるというか、南の方の国に比べてどこか音に透明感、清冽さがあるような気がするんですが、このアルバムにもそういう面がよく現れているのではないかと思います。