7月30日の音飯

free the bees

fuji rock festival 2004 in 苗場 report(見た順に)

british sea power (green)
スミスやウェディング・プレゼントの血を引く純英国ギターバンドだがライブならではの見せ方も心得ていて《メンバーが客席を練り歩いたり逆立ちしたり》見ていて楽しかった。

the bees (white)
英国バンドのクセしてカウボーイ・ハットで登場。まるで田舎のカントリーバンド風情だがリードギタリストだけがなぜかジェーンズ・アディクションのデイヴ・ナヴァロ風の上半身裸に黒い皮ズボンで浮きまくり。音の方はカントリーを軸にしたヒネクレポップの連続で要所要所で偽ナヴァロの変態チックなギターソロが炸裂し、陽気なのにどこか奇妙という面白い空気を振りまいていた。メンバーの担当楽器がやたら変わるのも妙。全体的には洗練されたウィーンという趣か。ツボにハマった。

赤犬 (orange)
変態チックな歌謡曲ショー? 期待したほど盛り上がらず20分ほどで引き上げ。

snow patrol (red)
ルー・バーロウ辺りを思わせる歌やサウンドは基本的に好みだけれど曲調がやや一本調子か。そつなくまとまってる感じ。

想い出波止場2020 featuring DJおじいさん (orange)
おごそかに始まったと思ったら奇声と共にいきなりrovo的なグルーヴへと突入。山本氏のシンバルを叩くアクションに反応してドラムのビートがブレイクするという至極わかりやすい一発ノリ的なアイデアに観客が一気にヒートアップ。が、その興奮をかわすかのように突然サラリーマン風のやたら人の良さそうなおっさんが出てきてジョニー・サンダースの曲や「ジョニーBグッド」の爆音カヴァーを熱唱したと思ったら今度は混沌極まりないジャムセッションに突入し、最後はDJおじいさんがターンテーブルを蹴りとばして終演。最高。ちなみにDJおじいさんはオレンジコートの現場責任者の人だそう。

the zutons (red)
割と面白いことをやってたと思うのだけど、なにせ想い出〜の後だったので印象にあまり残ってない。ただ、客の受けはビックリするくらいよかった。

pj harvey (green)
最近のヤーヤーヤーズ辺りに刺激を受けたのかそれとも昔からずっとこういう感じでやってたのか、トリオ編成でシンプル極まりないステージ。エラいカッコよかったとは思うけどなにせピクシーズ前だったんで心ここにあらず。

pixies (green)
スモークの奥からデブ&ハゲらがのっしのっしと歩いてきて、おもむろに始めた「ボーンマシーン」のイントロで鳥肌。全体的に演奏が所々ヘボヘボだったけれどデブの絶叫と轟音が全てを掻き消した。下からの照明で浮かび上がった眉毛のないデブの顔の怖さといったら! さらに「デッド」の後で唐突に一瞬だけニヤっと笑った時の顔は夢に出てきそうだった。時間が進むにつれて彼らの曲のもつ異常性や非日常性が記憶と共に徐々に露になってきて、意味の判らない恐怖感と耳を押しつぶすような轟音と15年前の懐かしさとで頭の中が一杯になって、いよいよわけがわからなくなった。やっぱこいつらモンスター・バンドだ。「化け物」という意味で。

lou reed (green)
非常に地味だが緻密で濃密なライヴを展開。ただ、静かな曲の時に隣のオアシスの音が聞こえてきてムードを壊してしまったのには閉口。宿泊先のバスの時間の関係で泣く泣く途中で会場を後に。
総評
とにかくピクと想い出に尽きた。っていうかその二つで燃え尽きて前後の記憶が曖昧だ。申し訳ない。想い出波止場のTシャツ買い損ねたのは苦い想い出。そんな中、the beesも小粒ながら大健闘。基本的に突っ込みどころが多いバンドは好きだ。本気でやってなさそうなところを本気でやってそうな英国人のもつ軽妙なユーモア感覚には憧れも込みでおおいにツボなのだ。だってあの偽デイヴ・ナヴァロがキース・リチャーズばりにずっとギターにさしてたタバコ、火が点いてなかったんだもん。