今日の音飯

major leagues


PAVEMENT / MAJOR LEAGUES (DOMINO)

 99年のラスト・アルバム『Terror Twilight』からの7曲入りEPで、ペイヴメント名義での最後のリリースとなったもの(再発やDVDを除けば)。意図的なのか偶然なのかはわからないけれども、ここでの彼らはNIGEL GODRICHによるややオーヴァー・プロデュース気味だったアルバム本編(といってもアルバムそのものは完成度の高い傑作だと思うけれど)よりもぐっとシンプルで、ある意味原点回帰のような表情を見せているのがとても印象的。本編の中ではいまいち目立たないように思えたタイトル曲も、こうして秋の美しい自然風景があしらわれたジャケットを眺めながら改めて耳を傾けてみると、穏やかな表情の中にも(「Shady Lane」に続く)Steve Malkmusの泣き節がさりげなく光る名曲だと思えてくるから不思議。続く2,3曲目は初期のサウンドに戻ったかのようなシンプル&荒削りな曲で、クレジットをよく見ればなんとあの初期ドラマーだったGary Young親父(昔ロッキング・オンで人生相談やってた人。そういえばつい最近ソロ・アルバム出したばっかりだけどなんか怖くて聴けてない)が叩いててビックリ。『Terror Twilight』を録り終えたバンドが次の方向性を探るべく、ギャリー親父に頼んだのか(そして結局方向性が掴めなかったのが解散の理由???)、はたまた単にスケジュールが合わなかったので急遽代理で頼んだだけなのかはやっぱりよく解らないけど、この大味で余韻もへったくれもないスティックさばきは親父以外の何者でもない。さらにタイトル曲のデモ録音とマルクマスがフランス語で歌う謎曲を挟んで最後はBBC音源からのカヴァーを2曲。ひとつはMATADORの2枚組オムニバスにも収録されていたECHO & THE BUNNYMENのカヴァー「Killing Moon」、そしてもう一つは散々パクったパクった言われてるTHE FALLの開き直り(?)カヴァー「THE CLASSICAL」。このように、ラスト・アルバム収録曲と初期のメンバーがフィーチャーされた曲、そして自分達のルーツ的なカヴァーが収録されていることで、奇しくもこのEPはバンドのこれまでの歴史が22分の中に凝縮された形となった。ひっそりとリリースされたためあまり目立たない存在だけど、ファンなら手元に置いておいて損はない一枚だ。