ファンキーな小悪魔たち

 前回とりあげた傑作「鳥木籠」から6年後のラスト・アルバム。この間にアルバム一枚挟んでるのだけど、そこで当時猫も杓子も嬉々としてやってた「ハウスビートの導入」を敢行した後、その路線をより巧みに発展/吸収させた形ということになると思う。とにかく音が洗練されていて、「80年代最後のポスト・パンク」的なサウンドを意固地に展開させていたのがまるで嘘だったかのようにスムーズで聴き心地がいい。あの「キーン」いうてるデンタル・ドリル・ギターもすっかり鳴りを潜めちゃうわ、カマっぽかったヴォーカルも低音の魅力でダンディに迫っちゃうわで、すっかり中堅のバンドの落ち着いた余裕を感じさせるソウル風味のテクノ・ポップとでもいうべき(ややニッチな)成熟した音作りに。よくできてはいるものの、正直面白味は薄い。っていうか、その方向性は違うだろって突っ込みを入れる所だったのかもしれない。もっとキバらな、と。君ら元レマ・レマやろ、と。まったりとしたポップ空間の中に滲み出るエキセントリックな部分というか、“大人”の90年代の音の中に残り香の如く垣間見える“未成熟”な80年代という入り組んだ構造の妙を楽しめちゃう人には推薦。

おかず5品

Heaven Or Las Vegas [輸入盤CD] (GAD0012CD)
13 Lucky for Some
Soundclash
Colourbox
Pump Up the Volume