12月12日の音飯

these were the earlies


THE EARLIES / THESE WERE EARLIES (NAMES)

 英国/米国の混合グループ、アーリーズのデビュー・アルバムです。ラインとしては緩やか〜にカーヴを描く陽光のまどろみソフト・サイケデリアと申しましょうか。MERCURY REVOLIVIA TREMOR CONTROL辺りのUSサイケデリア連中が持っていた所謂“ドリーミー”な部分を純粋培養させて(というか乱暴なディストーション・ギターのような不純物を極力差し引いて)、それを英国ならではの洗練させた手つき(BETA BANDのそれに近い)でオーケストラル・チック(マヘル風?)に包んでみました〜という感じの音です。何でもレコーディングには10人以上のミュージシャンが参加しているということで、完成度は非常に高いです。ただ、MERCURY REVの英国的解釈というとMANITOBA(現CARIBOU)のセカンド辺りの音を連想させますが、あれほどビートに重点が置かれていないため、全体的に冗長というかのっぺり聴こえてしまう部分があります。アルバム全体としての統一感を最優先させた結果といえばそうなのかもしれないけど、もうちょっと構成的に盛り上がる部分とそうでない引きの部分とのコントラストを強調しても良かったんではないかなーと思いました。ま、その分ダラダラ聴き流すにはもってこいの音ではありますが。あと、ヴォーカルが型にハマりすぎていてやや個性不足の感アリ(というかどうしてもJONATHAN DONAHUEと比べてしまう…)。うーん、さっきからネガティヴ・ポイントばかり挙げていますが、全体の傾向としてはとても好きなタイプの音なんで、それゆえの苦言というか、ま、頑張れーと。あ、ポップ・ソングとしての親しみやすさ、キャッチーさは上に挙げたバンドよりも優れている部分が多いと思います。完成度の高さも新人とは思えない位だし、すごく安心して聴けますよ。2004年のポップ・ソングの正しくあるべき姿だと思います。個人的には7曲目のようなブラス隊を効果的に使った曲の響きが新鮮だったので、その路線を驀進して2000年代型ブラス・ロック・バンド(CHICAGO?)として他にない個性を確立させるか、もしくはもっともっと型から外れて行きながらも同時にこの洗練されたバランス感覚を保っていけたらきっとものすごいバンドになるんじゃないかなーと。

asin:B0002FCZEC