YOU, ME & EVERYONE

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 それまで「フォークトロニカ」なんて言葉で括られていた彼だけど、様々な苦悩を乗り越えることで、大きな飛躍を遂げてしまったようだ。例えば、Four-tetのキエラン・ヘブデンがスティーヴ・リードとタッグを組んだり、ManitobaCaribouへと名前を変えて初期の「エレクトロニカ」的なイメージを打ち破ることで、強烈な肉体性と幻想性とを手に入れたのと同じくらいのインパクトがここにはある。ジャズ、現音、サイケデリア、ヒップホップなどが驚くべき緻密さでコラージュされ、ひとつのスムーズな電子音楽へと昇華していく様には、それまでラップトップの後ろで安住していた電子音楽家が踏み出していくべき音楽的進化の可能性の一端が潜んでいるのではないかと思う。