今日の音飯

the oimels

WOLFGANG DAUNER QUINTET / THE OIMELS (MPS)
なんじゃこのジャケ。最初鳥かと思ったけどよく見たら本盤の主人公、ドイツ出身の鍵盤奏者、ウォルフギャング・ダウナーさんの手による人間のイラスト(自画像?)でした。なんとも気味の悪い顔だけど、この気味の悪さは実はアルバムの内容をよーく表している。とにかく何かが歪んでいるのである。音色が、構成が、全体の雰囲気が。基本がジャズであることは間違いないのだけど、そこに69年という時代(シタール入ってます)が生んだドラッグという名の怪しい越境感覚がこんなアルバムを作り上げてしまった。要するに超B級トンチキ・サイケ・ジャズ、もしくは(「ジャーマン・ロック集成」風に言えば)ドグサレ・ジャズなんだけど、でもそのドグサレ具合(BEATLESの「A DAY IN THE LIFE」のカヴァーの脱力感ときたら!)と、後のGURU GURUやFAUST辺りのジャーマン・ロックがもっていたあの無茶な逸脱感覚やいびつなユーモアってかなり地続きだと思う。ドグサレだけどね。ドイツ人の「サイケ」に対する一連の拡大解釈の着火地点とも言えそうな一枚。