今日の音飯

STACKRIDGE / FRIENDLINESS (MCA)
 70年代のモダン・ポップ・バンド、スタックリッジのセカンド。まず、ちょっぴりトラッド調の軽快な「LUMMY DAYS」が飛び出してくる時点でワクワクしてしまう。このバンドの良いところはシンセや後のエレポップをも先取りするようなビートルズ直系のモダンなポップ・センスとトラッドやストリングス、おまけにヨーデル(!)なんかも取り入れたクラシカルな面の両方を兼ね備えていた点で、喩えれば大幅にポップスよりになったフェアポート・コンヴェンションとか、トラッドの血が混じったパイロットとか、もしくはイキすぎてない(?)スパークスとか、そういった形容も可能。だから昔の日本盤の帯にあった叩き文句「ビートルズXTCを結ぶミッシング・リンク」というのはまさに言い得て妙だ。そしてそんな微妙なバランス感が売れなかった原因でもあるんだろう。まぁ、それはともかくとしてこのセカンドはそんな彼らの絶頂期の作品で、とにかくジェームス・ウォーレン(後にコーギスを結成)の書く、牧歌的でどこか夢見がちな優雅なメロディはどれも一級品だし、8分に渡る大作からレゲエ風ポップスまでバラエティに富んだバンドのアレンジメントも冴えまくってる大傑作。彼らのような粋なポップ・バンドが今のイギリスには殆ど見当たらないのはちょっと寂しいけれど、こうやって音を聴く度に彼らが描いて見せた架空のイギリスの美しい田園風景はいつでも頭に鮮やかに蘇ってくる。