今日の音飯

WEST COAST POP ART EXPERIMENTAL BAND / VOL.3 A CHILD'S GUIDE TO GOOD & EVIL (SUNDAZED)

 後にSMOKEやOCTOBER COUNTRYなどを手がけることで有名なMICHAEL LLOYDらによるサンフランシスコ出身のサイケ・ポップ・バンドの4枚目のアルバム(vol.3とあるのはメジャーデビュー前に一枚自主制作盤があるため)。68年作。まるでLOVIN' SPOONFULのピースフルな空気感とBUFFALLO SPRINGFIELDの緩いサイケデリック感覚が融合して、さらに隠し味として「FREAK OUT!」的な感覚が微妙に潜り込んじゃったかのようなそのユニークな音楽性は、ある意味当時のアメリカの空気の最大公約数的なサウンドであるともいえるかもしれない。アルバムのハイライトは何と言ってもは5曲目の"AS THE WORLD RISES AND FALLS"で、穏やかに溶けていく喪失感が儚くも美しい名曲。また、テープの逆回転を効果的に使った奇妙な11曲目とそれに続くモロJOHN CAGE的な無音の12曲目という流れから漂うアヴァン・ポップな香りはまさにこの長すぎるバンド名に恥じないものだと言える。総じて個々の曲のクオリティが高く、さらに凝りまくったアレンジとスタジオワークと少々の実験性がそれを彩り、さらに美麗なジャケット・アートによって包まれたこのアルバムは「アート」と「ポップ」とのバランス感覚という観点から見れば間違いなく彼らの最高傑作であり、またこの時代のアメリカのピースフルな雰囲気とそれに対立するような邪念の入り混じった独特な空気感を体感したい人にはもってこいのアルバムだ。